久野農園は、以下の5つのこだわりを信条とし、毎日、農業に励んでおります。
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        1.無農薬栽培にこだわる
        2.無化学肥料栽培にこだわる
        3.ホンモノの味を求めて
        4.耕す、農業という仕事
        5.農業を変える





** 無農薬とは”あきらめる”ことなんです。**


無農薬栽培って、農業をしていない、いわゆる消費者の方にとっては「農薬を使わないで野菜や果実を栽培する」ことだと思います。
確かにその通りなんですが、農家にとってはもうちょっと違う意味があります。
少なくとも、ボクたち、久野農園にとっては、無農薬とは「あきらめる」ことなんです。

えっ、あきらめちゃうの!?とお思いですよね。

はい。説明させてください。

家庭菜園をやられている方ならお分かりだと思いますが、農薬を全く使わないでも、野菜が元気に育つことがあります。いわゆる旬の時期ですね。沖縄は温暖なので、旬の時期なら全く虫がつかないか、というと、そうでもないんですが、多少の差はあるにしろ、旬の時期ならば、完全無農薬でも見た目のしっかりした野菜をある程度作ることは可能です。

でも、それはいいかえれば、旬の時期以外は作れない、ということでもあるんです。”作る”、”作れない”という言葉はあまり好きでないんで、”育つ”、”育たない”に変えましょうか。

完全無農薬では、”旬の時期以外は育たない”のです。

ですから、まずここで、久野農園は”旬”の時期以外に育てることをあきらめています。

ひとことで”旬の時期”っていえば簡単ですが、ボクたちにとって、一番問題なのは、じゃあいったい旬の時期っていつなの?っていうことなんです。

これをわからんがために、数限りない試行錯誤と失敗を積み重ねてきました。やっていることの全てが失敗の積み重ねだと言ってもいいくらい、ここらあたりに、無農薬を目指す人のひとつの分岐点があります。

野菜がひどいダメージを受ける前に少しだけ農薬を使う、減農薬に切り替える人。そうでなくて、その時栽培している野菜をすっぱりあきらめて、再度試行錯誤して完全無農薬の方法を模索する人。
(誤解していただきたくないので、ひとこと、どちらの人の方法が良いか悪いかという問題ではありません。やっている人がどちらを選ぶか、という問題だと思います。)

まず、減農薬の人の方を補足しますと、野菜に虫や病気の症状が出てから対処する場合と、出そうだなという時期や兆候を知っていて、予防として農薬を使う二通りに分かれます。
もちろん後者のほうが技術的に優れていて、たいていは結果的に農薬の使用量も少なくて済むことが多いです。
(注:農薬を使う対象は虫、と、菌に分かれていて、殺虫剤、殺菌剤となっています。なかには、アブラムシのように病原菌を媒介する虫がいて、虫に直接作物が被害を受けなくても、虫が媒介する菌によって病気にかかるということがあります)

減農薬を目指した場合、最初から少しは農薬を使う前提で、予防、予防で、なるだけ量を少なくする、というのがお百姓さんの腕の見せ所になるわけです。それでも、結果的にどうしても病気が出てしまったから殺菌剤を使うというようなことはあるんだと思います。ですから、減農薬の場合でどれだけ農薬を減らせるかというのは一概に言えない部分があります。(決してだから減農薬はダメなんだといっている訳ではありません・・)

減農薬の場合のメリットは当然のことながら、リスクを減らせる点にあります。旬の時期にバチッと当っていなくても、最低限育てることは可能→最低限の収穫は見込めるということになります。また、旬の時期において、異常気象やちょっとした肥料のやりすぎなどで虫を出してしまった場合でも、ある程度の対処ができるわけです。

ところが、完全無農薬を目指した場合、そういったすべての場合において、一切あきらめて次の作物に切り替える、ということになります。
久野農園はそういう試行錯誤を数限りなく繰り返してきました。
もちろん、その作物をあきらめるまでにかかった経費、労力、時間はかえってきませんので、ばっちり赤字です。ですから、随分長いこと副業として新聞を配っておりました(^^;;)

旬の時期って実はなかなかわからないもので、沖縄本島と、ここ渡嘉敷島では微妙に変わっていたりします。まわりにその道の先輩がいれば随分助かるんですが、ボクたちの場合はいませんでしたので、いまだに試行錯誤を繰り返しています。

おそらく一生試行錯誤の繰り返しだと思います。

ひとことで旬といっても、キュウリだったらキュウリにいろいろ品種があって、”夏すずみ”という品種だったら、春から夏に向かう時期が一番よかったり、”アルファー節成”という品種だったら、ハウスで秋から冬に向かう作型が合う、というように、作物の品種によっても旬が違うんですね。

で、いま栽培されている品種のほとんどが、農薬を使って育てることを前提に品種改良されているのが実状です。
一部(ボクたちも含めて)、品種を農家の手に取り戻そうと、自家採種をめざす仲間がいますが、これもそう簡単ではなく、ひたすら試行錯誤の連続なんです。(1冊、本がかけるくらい、いろんな物語があります)

ちょっと話がそれましたが、要は、一般に言われている”旬の時期”に育てたからといって、それがうまくいくとは限らないのです。ですから、完全無農薬で育てるためには、”旬の時期を知る”ための前段階での試行錯誤があり、なおかつ、旬の時期以外に育てることをあきらめなければならないわけです。


   ** もう1つ、あきらめないといけないこと **

もう一つあきらめなければならないことがあります。

それは収量です。

旬の時期に育てても、例えばキュウリだったら、キュウリの樹が元気な若いうちなら、抵抗力があって無農薬で栽培できても、次第に老化して病気がでてきます。(人間と一緒ですね)

慣行栽培や減農薬栽培では、病気が出ないように、あるいは出た後でも、農薬を使って収穫期間を伸ばすことが可能ですが、完全無農薬では、それができません。

温暖で湿度が高い日本では、病気が非常にでやすいんです。もちろん沖縄は日本のなかでも、完全無農薬がもっとも難しい地域の一つだと言って問題はないでしょう。

ですから、病気がでて、収穫期間が短くなって、収量が減ったとしても”
あきらめる”わけです。

(ここで、また余計なことですが、”あきらめる”はけっして”ギブアップ”ではありません。『この時期、この栽培方法、この施肥量、この品種ではこの程度、収量がある』ということをあ・き・ら・か・にして次の試行錯誤につなげるという意味です。)

少しばかりは、農家にとって完全無農薬がどういうことか、わかっていただけたでしょうか。

じゃあ、いったいぜんたい、なにゆえに、完全無農薬にこだわるのかというと、これはもう完全に個人的な問題で、それが良い悪いではないのですが、

まずなにより、自分の食べるもの、クチにいれるものに毒をかけたくない、からです。

そして、毒をかけたものを家族や大切な人に対して、自信をもっておすすめすることができないからです。

化学の進歩で、農薬の毒性が低くなりつつあることは事実です。ですが、毒であることに変わりはありません。世に自然農薬なるものがあって、たとえば酢と糖蜜と焼酎をまぜてできたストチュウというものなど、ですが、こうした自然素材をもとにした害虫忌避剤は、少なくともボクの経験上、気休め程度の効き目しかありません。(ほとんどないといっても過言ではない結果でした。もちろんすべての資材をあらゆる条件のもとで試したわけではないので、すべて全く効かないといっているわけではありません。)

だからこそ、自然農薬は毒ではなくて、あくまで忌避剤だという意味において、JAS有機野菜の適合になるんだと思います。

しかし、その経験から類推して、化学農薬はいくら毒性が低くなったからといって、その農薬がばっちし”効く”以上、毒なんだ、とボクは思っています。

畑でのどが渇いたときなんか、トマトをもぎってそのままバクバク食べちゃうんですけど、あのおいしさ、喜びを、捨てるわけにはいきません。だって、そのために農家になった、という部分も間違いなくあるのですから。
毒をかけたら、めぐりめぐって、自分にかえってくると思うんです。

だからこそ、久野農園は農薬を対処法として使用するのではなく、なぜ、作物が育たないかを真剣に考え、試行錯誤を繰り返し、その経験、データーを積み上げて、自分が安心して食べられるもの、家族や大切な人に自信をもっておすすめできるものを育てていきます。



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